お知らせ

「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展 投票結果発表!

2023.05.30


埼玉県飯能市は関東平野と秩父山地が接する場所に位置し、市域の75%を森林が占めています。近年は山や河のレジャーで人気を集めていますが、その中心市街地に江戸時代から昭和期にかけての歴史的建造物が数多く残っていることは、あまり知られていません。
私たち埼玉ハンノウ大学が拠点を置く「旧・飯能織物協同組合事務所棟」もその一つ。大正時代の和洋折衷の意匠を残す歴史ある建物は、国の登録有形文化財に指定されています。
飯能のまちを歩けば、そこかしこに歴史情緒の残る建物が姿を現します。しかし、それらは同時に、老朽化や改修費用、建物を守る担い手の不足などから、この先いつなくなるとも知れない課題を抱えています。

歴史的建造物とそれらが作るまちなみは、その土地の歴史と文化を、今と未来に伝える“生きた教科書”です。
私たちは、これらの建物の存在をより多くの人に知ってもらい、保全活動と中心市街地の景観形成に対する理解を深めてもらうため、2022年10月~2023年2月にかけて「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展(巡回展およびウェブ展示)および人気投票を行いました。

本パネル展の模様は、飯能日高テレビ様において12月18日から24日まで「もっと奥武蔵:歴史的建造物写真展」として特集紹介され、文化新聞様では10月から12月まで「紙上写真パネル展」と題して連載記事を掲載いただきました。
さらに、会期中の10月21日には新井重治飯能市長がパネル展に来場いただきました。飯能市では『第5次飯能市総合振興計画』に「歴史的建造物の保存と活用」や「景観形成重点地区及び景観重要建造物等の指定推奨」を明記しており、市長へこれらの計画をさらに推し進めていただくよう要望しました。
投票に当たっては、パネル展会場に投票箱を設置したほか、埼玉ハンノウ大学ホームページでもウェブ投票を呼び掛け、のべ406人の方に投票いただきました。ご協力いただいた皆様には心より御礼申し上げます。
ここに集計結果を発表するとともに、2022年度に取り組んだ飯能の歴史的建造物&まちなみ保全のための取り組みを併せて紹介します。飯能のまちなみを彩るレトロな建物たちに、ぜひ関心を寄せていただければ幸いです。

  • 来場いただいた新井重治飯能市長(中央)
  • 織協会場
  • マルトクカフェ会場

 

【アンケート概要】
・開催期間 : 2022年10月4日~2023年2月5日
・アンケート項目 : エントリー全29件+その他(自由記入)のうち、あなたが選ぶ「飯能まちなかの風景・歴史文化を紡ぐ建物」を5つ選ぶ。年齢・性別・お住まいの地域を任意記入。
・集計方法 : 1. 「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展(巡回展)会場での紙投票/2. WEB投票(Googleフォーム)

 
【投票者内訳】
(全406票/年代別・居住地は未回答を除いて集計)

  • 円グラフ(性別)
  • 円グラフ(年代別)
  • 居住地(円グラフ)

 

【投票結果】
ここでは、100票以上を獲得した上位6件を紹介します(No.はエントリーリストの番号)。

1位  旧・飯能織物協同組合事務所棟(No.12)  182票
2位  店蔵絹甚(No.3) 146票
3位  畑屋(No.26) 135票
4位  江州屋(No.4) 126票
5位  師岡家住宅(No.20) 115票
6位  吉川理容所他(No.16) 104票

  • 1位 織協
  • 2位 店蔵絹甚
  • 3位 畑屋
  • 4位 江州屋
  • 5位 師岡家住宅
  • 6位 吉川理容所地

 

1位は古くから「オリキョー」の名で親しまれる「旧・飯能織物協同組合事務所棟」(No.12)。
かつて飯能の経済を支えた織物業の組合事務所で、イギリス下見板張りの洋風建築ですが、漆喰内壁の鏝絵(こてえ)や屋根の鯱(しゃちほこ)など、大正期の和洋折中の意匠が魅力です。国の登録有形文化財にも指定されています。中心市街地のシンボル的存在として、市民からも愛されており、人気の高さがうかがえました。

2~4位および6位は、現在も店舗やギャラリーとして活用されている建物です。

2位の「店蔵絹甚」(No.3)は、明治期の絹関連の買継商店舗を営んでいました。飯能市街地で唯一、下屋屋根両袖に卯立(うだつ)が付いています。毎週水~日曜に一般公開され、ギャラリーやイベントスペースとしても利用できます。飯能市指定有形文化財。

3位の「畑屋」(No.26)は大正初期に建設された木造3階建ての料亭建築で、当時は花街の鰻割烹料理屋として、織物や材木商の旦那衆の社交場として大いに繁盛しました。

4位の「江州屋」(No.4)は昭和2年建造の町屋建築。初代は近江商人でかつては酒屋を営み、現在は鍛鉄作品と生活雑貨を扱うアンテナショップとなっています。

5位の「師岡家住宅」(No.20)は、もともと材木商の店で、近代和風建築の美しい姿に投票が集まりました。

6位の「吉川理容所他」(No.16)は、洋風看板建築の長屋で、外壁はルネサンス様式を用いてデザインされており、大正昭和のレトロな雰囲気が感じられる建物です。

 

【パネル展 エントリー全リスト】
今回の「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展にエントリーされた29件は以下の通りです。
現在、店舗営業されている建物のほか、個人宅にも多数ご協力をいただきました。各建物の関係者の皆様、ご協力ありがとうございました。

全建物リスト

【2023年度の展望】
多方面の協力を得て、2022年度はこれらの企画を実施・成功させることができました。2023年度は、新たに「レトロモダンタウン飯能 歴史建築保存プロジェクト」を発足させ、引き続き市民への啓発活動を行うとともに、保全活用に向けた課題と解決策をより具体的に検討・提言していきます。今後の活動にご期待ください。

※なお、本記事では集計結果の一部をご紹介しています。「歴史建築保存プロジェクト 2022年度活動報告」も加えた全体版をご覧になりたい方は、以下PDF、もしくはnoteのレポートをご覧ください。

【PDF版】「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展投票結果発表&2022年度活動報告
【note掲載版】「次代に繋げたい~あなたが選ぶ~飯能の建物」パネル展投票結果発表&2022年度活動報告